[MARU-050] V.A. - MP3 killed The CD star ?


Picture

Producer,A&R,Text : tomad
Director : Takeshi Sugio
Mastering : Yoriaki Adachi
Art Direction,Design,Graphic : Tamio Iwaya (GraphersRock)
Design,Graphic : Yoshimitsu Sakoda(1057),Keita Mori,Shunsuke Sugiyama
Illustration : Kazuki Umezawa,NC Empire,HTC*,Nagamoto,moji8fresh!,769,Lie Fujishiro
Supported by : Kenichi Gokan,Manami Ogawa(onepeace)
Special thanks to : imoutoid,OKNUW
    「Mind Placed the 3rd」 神野龍一によるライナノーツ 2010/11/02

    「mp3 killed CD star?」はweb上でmp3音源を発信しているネットレーベル「maltine records」がリリースした初のCDメディアを使ったアルバムである。しかし、単純にCDに音源を移しました、という無粋なことをしないのがデジタルネイティブ世代と言わんばかりに、今作のリリース手法は手が込んでいる。まず音源として入っているのは「mp3 killed CD star?」のそれぞれの曲をノンセクトラジカルズがつないだ10分強のメガミックスであり、それぞれの曲は、もう一枚付属している空のCDR(!)とパスワードの書かれたメモがあり、maltine recordsのサイトから音源をダウンロードし、それをCDRに焼くことで完成するという仕組みになっている。つまり今作では、CDとはmp3音源を記録するための1つの記録媒体としての意味しか付加されてされておらず、やや不穏なタイトルの意味も相まってiPod世代の新たな表現方法や、リリース形態を模索する形となっている。

    iPodは音楽と意識の在り方を確実に変えた。それは単にウォークマンに比べての持ち運ぶ容量の爆発的な増加や、それにともなったコンテンツの「デフレ」化だけではない。それはまさに「意識mind」の根本を揺るがす変化であると言っても良いだろう。iPodという、小型化されたハードウェアをわれわれが持ち歩き、音楽やアプリなどのソフトウェアをダウンロードしながら、音楽を記憶したりしている我々の意識は、明らかにそれ以前の人々とは違っているはずだ。それは、おおざっぱに言ってしまえばハード/ソフトという意識が我々の身体/精神にまで拡大されて把握されるときに、より明確になるだろう。

    良かれ悪しかれ新たな技術はそれを使う人々の意識を変える。機械が発明される前までは人は自分たちを「機械」であるとは当然考えたことはなく、それは他の生物もしくは神と類推して語られた。印刷技術が発達する以前は「意識」すら存在していなかったのだ。そして現在ではそれはコンピュータ化されたことによって、価値の転倒がさらに起きようとしているということなのだ。

    結論から話そう。我々の意識は、ハードウェアに組み込まれた一種のソフトウェアとして把握される時代がきている、という事だ。もっとコンピューター風に言えば、意識は他のソフトを手早く処理するためのOSであり、身体をインターフェースとして機能させて世界とつながる一つの機械として理解するような時代。そこでは、かつてあったような不可侵領域の精神(実際、神でさえ人の心に立ち入ることはできないとされた)のイメージは覆され、アップデートを繰り返し、時には代替すら可能である。このような脱聖化されたされた意識を拡張し、ハードである身体のパフォーマンスを向上させていく。そして、それを僕たちは容易に、自然に、ポジティブに受け入れることができる。それは、いままで音源をレコードやCDといった「確定されたエクリチュール」として所有してきた前世代とは全く違う感覚だ。

    これは、「mp3 killed CD star?」収録の楽曲のうち、タイトルに二曲「ダンス」という言葉が使われており、他の楽曲でも「ダンス」が重要なキーワードとなっていることからも語ることが出来るだろう。ダンスミュージックとはまさしく、音楽を主に、身体性をフルに活用させる行為に他ならないから。踊りに没頭している時、音楽、身体、の後に意識は後退する。Mind Placed the 3rd。20世紀には「肉体は精神の牢獄である」というプラトンの説を逆転させ「精神こそが肉体の牢獄なのだ」と語った哲学者がいた。そしてそれは21世紀の現在において単なる反語ではなく、容易に、自然に、ポジティブに理解することができるだろう。(この20世紀の哲学者と、ダンスミュージックにはセクシャリティの問題において共通する点があるのだが、それを語るのはさすがに紙幅が無く、またアルバムのレビューとは離れすぎている)

    さて、今の時代を生きる君たちは、自分のマインドを書き換える覚悟はあるだろうか?このアルバムを聞いてから、それまでの自分の思いもよらない変化を、受け入れることは出来るだろうか?しかし、すでにパスワードは渡されている。

    神野龍一

    DATA Tracklist


    1 パジャマパーティズ - MP3
    2 Syem - tv filter
    3 Quarta 330 - Imakita Industry Co.,Ltd.
    4 コバルト爆弾αΩ - Copyright of the Living Dead
    5 Silvanian Families - Star Shower
    6 芳川よしの feat. カリソ - Night Stars Dance
    7 Gassyoh - Scandinavia
    8 ラスベガス - Silly Gary
    9 okadada - Fictional Dawn
    10 tofubeats feat,dj newtown - 朝が来るまで終わる事の無いダンスを
    11 三毛猫ホームレス - トリキチ三平

    CD Tracklist


    1 nonSectRadicals - MEGAMIX

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    Style :???
    Cat# : MARU-050
    Released: 2010/08/04
    Format : MP3/WAV/CD